車両が曲線を通過するときには、遠心力がかかる。これを打ち消すために、曲線の線路には内側に向けて傾斜(カント)が付けられている。それでも速度が速すぎると乗り心地を悪化させたり、さらには車両の転倒につながる。そこで遠心力が規定量を超過しないよう、曲率半径とカント量に応じて曲線を通過する速度には制限速度が設けられている。
蒸気機関車牽引で列車の最高速度が遅かった時代はあまり問題とされなかった曲線区間の制限速度が、電車や気動車となり最高速度が向上すると、スピードアップのための障害となった。より高速で曲線を走行しようとする場合、増加する遠心力への対策が必要になる。転倒の危険については、車両の内装や屋根上を軽くするなどして車重を減らし、重心を下げることで対処できる。一方、乗り心地についてはスピードアップに応じてカントの傾斜角を増やすことになるが、列車が曲線で停止した時に車体が傾きすぎないよう、増やせる角度には限度が設けられている。特に曲率半径が小さい場合や曲線途中に存在する外方分岐の反位側はカント不足となる。
平坦な場所を走行する幹線では元々曲率半径は大きめに取られているが、山岳路線やローカル線では敷設条件から半径の小さい曲線が小刻みに連続する。根本的な解決には、長大なトンネルを掘って迂回していた区間を直線化するなど大規模な土木工事により軌道の線形を改良することになるが、これは莫大な工事費を要する。そのため、既設軌道の改良による設備投資を抑制しつつ列車の高速化を廉価に実現するため、曲線区間のカントの不足分を車体自体を傾斜させることで補う「振り子式車両」を実用化することが検討された。なお、車体傾斜機構そのものは乗り心地を維持したままスピードを上げるための仕組みであり、軌道への衝撃などを減らすためのものではない。そのため、振り子車両で高速化する場合は曲線区間の側圧増大対策などのために一定の軌道強化が必要となる。振り子の動作自体は車体の重心位置を変動させるので高速走行には悪影響となるが、振り子付き車両はその動作のためそもそも車体の重心が下げられているため全体として悪影響のない範囲にまとまる。
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