ニュースや天気予報は情報の速報性・正確性が求められるため、ほとんどが生放送で放映・放送されている。スポーツ番組などでは「生中継」(なまちゅうけい)と呼ばれる場合もあるが、放送時間の都合で事前に収録したものをある程度編集する「撮って出し」(とってだし)と呼ばれる方式をとっているものもある。番組内で生放送である旨の告知がない限り、一般の視聴者・聴取者が生放送と録画放送とを見分けることは極めて困難であるが、ニュース速報・気象情報などのテロップ・アナウンス挿入や、災害等の突発的なアクシデントなどによってそれと分かる場合がある。民放のクロスネット局などでは、編成の都合上生放送番組を収録した映像で時差放送する場合もある。局によってはCM無しの完全版で送る局もある。また、出演者はいないが、一部UHF局で放映されている、コンピュータへのデータ入力に基づいて各種画像・音声データが自動的に放送される天気予報も生放送の範疇である。
放送の創成期には、VTR機材/録画用メディアが非常に高価で収録用機材の運用コストも高かったため、音楽番組はもとよりドラマや演劇などでさえ生放送がごく当然であり、出演者は突発的な事象に対応できるよう、絶えず緊張を強いられていた。だが、録音・録画技術が進歩し編集が可能となると、送り手にとってリスクの高い生放送は、生放送でなければ得られない効果(いわゆるライブ感)を求めたり生放送特有の緊張感が敢えて必要な場合に限定されるようになった。実際、英語ではLIVEと言う。
生放送は1980年代以降、減少傾向にある。背景には録音・録画に必要な機材や技術の進歩、テープの低価格化のほかに、1回で2-3本を収録した方が効率が良いというのが有力である。放送局にとって、出演者をキャスティングする場合にはスケジュール調整がしやすいことや、出演者が急に出演できなくなるなどの突然のトラブルに対応しやすいなどの事情がある。一方、キャスティングされる芸能事務所側にとっても、生放送より収録を多くした方がより多くの仕事を得られ、利益を上げやすい上、スケジュール面での余裕にも繋がる。その為、放送局、芸能事務所双方にとってプラスになるというのが大きい。
また、生放送を主体としながらも、生放送開始前もしくは生放送終了後に次回放送分を収録する(これも事実上の2本撮りとなる)ケースもある(『スーパーJOCKEY』など)。これについては、出演者やスタッフのスケジュールの都合や、制作費の節約(2本撮りすることで生放送1回分の経費を軽減できる)という観点から行われるケースがほとんどである。
1990年代以降、各種編集機器の電子制御の高機能化が進むに連れて、毎週生放送という触れ込みであった筈の番組がわずか数回で収録放送に変更されてしまうケースが増えてしまった。例としては、『ミンナのテレビ』『とくダネ!発 GO-ガイ!』などがある。低視聴率や多忙な出演者のスケジュールの調整がままならない番組で多く見られる。
生放送のデメリットとしては、その特性上、不測の事態によるアクシデントやトラブルが起きるリスクが常時つきまとう一面がまず挙げられる。また、想定されない突発的な事態や機器の操作ミスから放送してはならないような映像・音声が流れてしまったり、あるいは出演者・スタッフの不用意・不謹慎な言動がそのまま流れてしまい、膨大な数の視聴者・聴取者に伝わることで、時に番組や出演者のイメージに瑕疵がついてしまう危険もある。2004年には、NFLの決勝戦スーパーボウルのハーフタイムショーにおいて、ジャネット・ジャクソンが共演者に胸を露出させられるアクシデントが起こされた。
芸能界においても、所属タレントの不用意・軽はずみな発言・行動によるタレントイメージの瑕疵の発生も、生放送ならば止め様がないが、対して収録番組には放送前に事前にチェックし編集で防止できるというリスクマネジメント上のメリットがあり、現在では生放送に消極的な芸能事務所は多い。また、タレントの性格や販売戦略などの要素も絡んで生放送NGというスタンスを取る、あるいは特定のタレントとの共演では収録番組のみという条件を付ける芸能事務所やタレントも見られる。
その他にも、放送には不特定多数に向けて発信されている性質があるため、何らかの政治的目的を持つ者や環境保護・文化財保護・歴史的建造物保存運動などの活動家が、自己宣伝や自身・所属組織の主張を無理矢理発信しようとしたり、あるいは自分たちに都合の悪い内容の放送を妨害する目的で、故意に生放送の現場への乱入を試み、放送が妨害されたりさらには生中継が中断に追い込まれるなどといった業務妨害行為も、洋の東西を問わず引き起こされている。また、特にテレビの場合、事件の現場や所轄警察署の付近からの生中継では、そこに集まった多数の野次馬が面白半分に中継映像への「映り込み」を狙った行動を繰り広げたり、さらにはそもそも「映り込み」を目的に遠方から事件現場や中継現場に赴く者までもが現れ、それらによって中継現場が混乱状態となり、生中継が不可能という事態に陥ることもある。
一方、ラジオ(特に中波ラジオ)では、帯番組として放送されるニュース番組や情報番組、スポーツ中継などが多いことから、必然的に生放送が多くなる。NHKラジオ第1放送では、96%が生放送と発表している。トーク番組や音楽番組等の生放送が必須でない内容でも生放送で制作されることが多く、その様な番組でもEメールなどを介した視聴者とのリアルタイムなやり取りが積極的に行われることがラジオ番組の特徴とも言える。
現在では、番組放送のライブ感を保ちつつも中継の映像・音声の送出を数秒から5分程度遅らせる「遅延送出システム」という技術が実用化されている。これは本来は生放送の番組制作用における効果用機器としての使用が意図されたものであるが、その機能上、生放送での突発的事態への発生を前提とした対策の1つとしても有効であり、米国・英国・日本などの放送技術先進国はもとより宗教戒律上の都合や政治的事情を抱える国の放送業界などでも幅広く導入されている。
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