架空電車線方式では集電装置の高さと架線との高さ(建築限界・車両限界)などが異なる区間を走行する場合もままありうる。そういった区間を走行する場合には、通例高さが低い方に合わせる。これは他社の郊外路線と直通する地下鉄などが当てはまる。日本の旧国鉄では、電化工事の際、工期短縮と工費節減を目的として、明治時代に建設された設備(主にトンネル)を、大規模な改修を行わずにそのまま使用した箇所があり、これらの限界が他の線区より狭い。中央本線の高尾 - 中津川の山岳区間、篠ノ井線、私鉄を国有化した路線である身延線、民営化後に電化した予讃線の愛媛県内などの線区が知られている。飯田線も私鉄買収路線であるが、この事例には該当しない。
国鉄時代、これらの「狭小トンネル」区間に使用または直通する車両は、パンタグラフの折りたたみ時に架線との一定の距離を保つため、その時の高さを通常より低くすること(国鉄の通常の直流区間向け車両では軌道上面から4000mm以上。中央本線は3980mm。身延線は3960mm。予讃線は3900mm)や、電気保安装置である避雷器など周辺装置、天井のヘッドライトなどの移設を行うことが求められ、既存車の改造や、既系列の新車を設計変更することで対応していた。特に移設装置で目立つものが避雷器であったことから、これらは避雷器移設工事車両といわれた。またパンタグラフ部の屋根を切り欠いて設置位置を低くしたものを低屋根車両と称する場合もあり、特に中央本線向けの車両は、勾配用に低められた電動車の歯数比との組み合わせで「山用電車」と呼ばれることもあった。これらの仕様は42系・71系・72系・80系・101系・115系・165系・JR東海211系などに見られ、72系以降の該当車両には主に800番台などの番台区分がなされている。
しかし、元々重心を下げる目的で全高を抑えた設計の特急形電車や、国鉄民営化後に該当路線に投入された車両は、低屋根車両とは呼ばれない。また、交流型電車・交直流電車については、20,000Vの高圧電流を使用する交流電化区間でその保安上、架線およびパンタグラフの基部を直流区間の場合よりも高い位置に取る必要がある事、あわせて関連機器を屋根上にも装備するためのスペースを確保しなければならない事から、元より前述の低屋根に近い設計がなされている。このことから前述の低屋根車両には該当しない。
また中央本線については、最低作用高さと折りたたみ高さを低減したパンタグラフ(PS23形・PS24形、シングルアームのPS35形)が開発され、既存または新規の全高の高い車両もこれらのパンタグラフを搭載することでパンタグラフ降下時に架線との距離をクリアすることが可能になり、低屋根車両を製造する必要性がなくなった(対応車両は車番の前に◆のマークが付けられた)。それ以前に製造された低屋根車両は経年廃車が進み、数が減少している。ただし、身延線ではこれでも通れないため、パンタグラフ取り付け部を20mm下げた専用の低屋根車両(115系2600番台電車)が製造された。なお、JR東海の現在の新型車(373系・313系)は身延線を走行することを想定した屋根高さで設計されている。
予讃線の場合はさらに条件が悪いため、特別仕様のパンタグラフ(S-PS58形、S-PS59形)を装備し、新造車では屋根全体を低めている。
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